法律相談事例
不動産賃貸借に関する相談
【ルームシェア】
- あるマンションの一室(単身者向け)を借りています(2年毎更新、敷金として家賃の2か月分を入れています)。家賃の負担を少なくするため、友人とルームシェアをしたいですが、問題はありませんか。
- 貸主の許諾を得られればもちろん問題はありません。しかし、許諾を得ずにルームシェアをした場合には、賃貸借契約を解除される可能性があります。
賃貸借契約は信頼関係が非常に重要視されます。元々単身者向けマンションですので、ルームシェア、すなわち複数人による居住は予定していません。この場合、居住人数が増えることからも、単身者で利用する場合よりも不動産の損耗が大きく、信頼関係が損なわれる可能性が高いです。そうしますと、賃貸借契約が解除される可能性があるため、問題があります。
もっとも、次の住居が決まるまでの数日一時的にルームシェアをしたという程度であれば問題ないでしょう。
【更新拒絶】
- 上記の賃貸借契約の事例において、貸主が、息子が借りることを理由として賃貸借契約の更新を拒絶されてしまいました。このような拒絶は認められるのですか。
- 更新拒絶をするには正当な理由が必要になります。例えば、老朽化により建替えが急務であるような場合であれば正当事由は認められやすいですが、単に息子が使用したいというのみでは正当理由があると考えるのは難しいでしょう。この場合、立退料として賃料数ヶ月分の金銭の申し出があればこれを補完する可能性も考えられます。いずれにせよ、息子が居住するためという理由のみで更新拒絶することは難しいでしょう。
【敷金からの控除】
- 上記の賃貸借契約の事例において、家具を長期間置いていたため、フローロングが少しへこんでしまいました。賃貸借契約を終了する場合には原状回復をしなければならないと聞いたことがあります。この場合、敷金から引かれてしまうのでしょうか。
- 賃貸借契約においては、確かに原状回復義務が生じます。もっとも、原状回復義務とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することをいいます。そうしますと、家具を置くことは通常の使用の範囲ですから、それに伴うフローリングのへこみも通常損耗として原状回復の対象にはならないと考えられるでしょう。したがいまして、敷金から控除することはできないでしょう。もっとも、家具の移動中にその家具を落としてしまった際のへこみ等は通常損耗とはいえませんので、補修費用が敷金から控除されることになります。
【オーナーチェンジ】
- 上記の賃貸借の事例において、賃貸人が代わりました(いわゆる「オーナーチェンジ」)。新賃貸人から更新拒絶をされ、立退要求をされた場合、出ていかなくてはならないのですか。また、入れていた敷金はどのようになるのですか。
- オーナーチェンジがあった場合、基本的に旧賃貸人の義務をそのまま引き継ぐことになり、オーナーチェンジがあったことそれ自体から賃借人に不利益になることはありません。もっとも、前述のように、更新拒絶である場合には正当理由が必要になります。オーナー自身が部屋を自宅として利用する場合、賃料数ヶ月分程度の立退料を提供する場合等には正当理由が認められやすいですが、立退料等の提供がなければ難しいでしょう。